「奥の細道:立石寺(りふしやくじ)」の現代語訳(口語訳)

「奥の細道:立石寺(りふしやくじ)」の現代語訳になります。学校の授業の予習復習にご活用ください。

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「奥の細道:立石寺(りふしやくじ)」の現代語訳

 山形領に立石寺といふ山寺あり。
山形領に立石寺という山寺がある。

慈覚じかく大師の開基にして、ことに清閑の地なり。
慈覚大師の創建した寺で、とりわけ清く静かな地である。

一見すべきよし、人々の勧むるによりて、尾花沢をばなざはよりとつて返し、その間七里ばかりなり。
一度見るほうがよいと、人々が勧めるので、尾花沢から(予定を変えて)逆戻りし、その(山寺までの)間は七里ぐらいの距離である。

日いまだ暮れず。
日がまだ暮れない(うちに着いた)。

ふもとの坊に宿借りおきて、山上の堂に登る。
麓の宿坊に宿を借りておいて、山上にある堂に登る。

岩に巌いはほを重ねて山とし、松柏しようはく年旧り、土石老いて苔こけ滑らかに、岩上がんしやうの院々扉を閉ぢて物の音聞こえず。
岩に岩を重ねて山となっており、松や柏などが樹齢を重ねて(うっそうと茂り)、土石も古びて苔が滑らかに(覆っていて)、岩山の上の幾つもの支院は全て扉を閉じていて、物音一つ聞こえない。

岸を巡り、岩をはひて、仏閣を拝し、佳景寂寞じやくまくとして心澄みゆくのみ覚ゆ。

断崖を巡り、岩をはうようにして、寺院を参詣すると、すばらしい景観はひっそりと静まりかえって、心が澄みきってゆくのだけが感じられる。

  閑しづかさや岩にしみ入る蝉せみの声
なんという静寂であろう。その静寂の中で、蝉の声だけが岩にしみこんでゆくように感じられる。

脚注

  • 慈覚大師 七九四年~八六四年。法名円仁えんにん。第三代天台座主ざす
出典

奥の細道

参考

「国語総合(古典編)」三省堂
「教科書ガイド国語総合(古典編)三省堂版」文研出版

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