「徒然草:今日はそのことをなさんと思へど」の現代語訳(口語訳)

「徒然草:今日はそのことをなさんと思へど」の現代語訳になります。学校の授業の予習復習にご活用ください。

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「徒然草:今日はそのことをなさんと思へど」の現代語訳

 今日はそのことをなさんと思へど、あらぬ急ぎまづ出で来てまぎれ暮らし、待つ人は障りありて、頼めぬ人は来たり。
今日はそのことをしようと思うけれども、別の急用が先に出てきて(それに)取り紛れて暮らし、(こちらが)待っている人は差し支えがあって(来ず)、来ることをあてにさせない人はやってくる。

頼みたる方かたのことは違たがひて、思ひ寄らぬ道ばかりはかなひぬ。
期待している方面の事柄はあてが外れて(うまくいかず)、思いもよらない方面のことだけはうまくいってしまう。

煩はしかりつることは、ことなくて、易やすかるべきことは、いと心苦し。
面倒だと思っていたことは、(すらすらと)無事に済み、簡単なはずのことは、(実際にやってみると)たいそう面倒でつらい。

日々に過ぎゆくさま、かねて思ひつるには似ず。
(こんなふうに)毎日が過ぎていく様子は、前もって考えていたこととは違っている。

一年ひととせのうちもかくのごとし。
一年の間もこれと同様である。

一生の間もまたしかなり。
一生の間もまたそうである。

 かねてのあらまし、みな違ひゆくかと思ふに、おのづから違はぬこともあれば、いよいよものは定め難し。
(それならば)前からの予測が、みな外れていくかと思うと、(そうとも限らず、)たまには予測どおりにいくこともあるので、いよいよ物事は(あらかじめ)決めることが難しい。

不定ふぢやうと心得ぬるのみ、まことにて違はず。
(要するに世の物事は全て)不確かで定め難いことと覚悟しておくことだけが、真実であって間違いがないのだ。

〔第百八十九段〕

出典

徒然草

参考

「国語総合(古典編)」東京書籍
「教科書ガイド国語総合(古典編)東京書籍版」あすとろ出版

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