「去来抄(きよらいせう):うづくまる」の現代語訳(口語訳)

「去来抄:うづくまる(うづくまる薬缶のもとの)」の現代語訳になります。学校の授業の予習復習にご活用ください。

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「去来抄:うづくまる(うづくまる薬缶のもとの)」の現代語訳

  うづくまる薬缶やくわんのもとの寒さかな   丈草ぢやうさう
(師の病状を案じながら、)薬を煎じる薬缶のもとにかがみこんでいると、(師と死別する悲しみと)夜更けの寒さがひとしお身にしみることだ。

 先師、難波なにはの病床に、人々に夜伽よとぎの句をすすめて、「今日よりわが死後の句なり。一字の相談を加ふべからず。」となり。
師は、大坂(に滞在した時)の病床で、(看病をする)門人だちに「夜伽」(を題にして)の句を(作るよう)勧めて、「今日からは私の死後の句である(と思って句を作れ)。(だから私に)一字の相談をもしてはならない。」と言うのである。

さまざまの吟ども多く侍りけれど、ただこの一句のみ、「丈草、出来たり。」とのたまふ。
(その時)さまざまの句がたくさん詠まれましたが、(師は、その中で)ただこの(丈草の)一句だけを、「丈草、でかした。」とおっしゃる。

 かかる時は、かかる情こそ動かめ。
このような時は、こうした(悲痛な)感情こそ起こるのだろう。

興を催し、景を探るいとまあらじとは、この時こそ思ひ知り侍りける。
(興趣をそそるような)趣向を凝らしたり、(句にふさわしい)情景を探し求めたりする余裕はないだろうと、この時(つくづく)思い知りました。

脚注

  • 丈草 〔一六六二―一七〇四〕内藤ないとう氏。芭蕉の門人。尾張おわり犬山藩士。
  • 難波の病床 元禄げんろく七年〔一六九四〕十月、芭蕉が大坂おおさかで病臥びょうがした時を指す。
出典

去来抄きよらいせう

参考

「精選古典B(古文編)」東京書籍
「教科書ガイド精選古典B(古文編)東京書籍版 2部」あすとろ出版

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