分数の数列の和を求める問題の解法ポイント

  • 一般項a_nが分母にnを含む分数の形で表される数列の和を求める問題です。
  • 出題形式には\displaystyle \sumを用いて一般項が表される形と、初項からいくつかの項が書き表される形があります。
  • 部分分数分解を用いて\dfrac{1}{n(n+a)}=\dfrac{1}{a}\left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+a} \right)と変形し、数が同じで符号が異なるものを消していきます。

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分数の数列の和を求める問題

\[\dfrac{1}{1\cdot 3}+\dfrac{1}{2\cdot 4}+\dfrac{1}{3\cdot 5}+\dots+\dfrac{1}{n(n+2)}\]

を求めなさい。

分数の数列の和を求める解法の手順

  1. 部分分数分解を用いて、分数を2つに分けて表します。
  2. 項を実際に書き並べます。
  3. 数が同じで符号が異なるもの同士を足すことで消し、残ったものを足します。

分数の数列の和を求める問題の解説

分母が2つの数の積として表されているので、
部分分数分解を用いて分母が1つの数だけで表される形に変形します。

\[\dfrac{1}{n(n+a)}= \dfrac{1}{a} \left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+a} \right)\]

より

\[\dfrac{1}{n(n+2)}= \dfrac{1}{2} \left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+2} \right)\]

となるので、

\[\dfrac{1}{1\cdot 3}+\dfrac{1}{2\cdot 4}+\dfrac{1}{3\cdot 5}+\dfrac{1}{4\cdot 6} \dots +\dfrac{1}{n(n+2)}\]

\[=\dfrac{1}{2} \Biggl(\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{3} \right)+\left(\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{4} \right) +\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{5}\right) +\left(\dfrac{1}{4}-\dfrac{1}{6}\right) +\dots +\left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+2}\right)\Biggr)\]

と変形できます。

この中で、初項を分解してできた-\dfrac{1}{3}と第3項を分解してできた\dfrac{1}{3}のように、
数が同じで符号が異なるものを消すことで、和が求められます。
初めのうちは多めに項を書くようにすると、消える部分と残る部分が考えやすくなります。

\[\dfrac{1}{2} \Biggl(\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{3} \right)+\left(\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{4} \right) +\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{5}\right) +\left(\dfrac{1}{4}-\dfrac{1}{6}\right) +\dots +\left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+2}\right) \Biggr)\]

\[=\dfrac{1}{2} \Biggl(\dfrac{1}{1}+\dfrac{1}{2}+\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{3} \right)+\left(\dfrac{1}{4}-\dfrac{1}{4} \right) +\dots +\left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n}\right) -\dfrac{1}{n+1}-\dfrac{1}{n+2} \Biggr)\]

\[=\dfrac{1}{2} \left (\dfrac{1}{1}+\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{n+1}-\dfrac{1}{n+2} \right )\]

\[=\dfrac{1}{2} \Biggl(\dfrac{2(n+1)(n+2)}{2(n+1)(n+2)}+\dfrac{(n+1)(n+2)}{2(n+1)(n+2)}-\dfrac{2(n+2)}{ 2(n+1)(n+2)}-\dfrac{2(n+1)}{ 2(n+1)(n+2)} \Biggr)\]

\[=\dfrac{1}{2} \left {\dfrac{3n^2+5n }{ 2(n+1)(n+2)} \right }\]

\[=\dfrac{ n(3n+5) }{ 4(n+1)(n+2)}\]

より、和は \dfrac{ n(3n+5) }{ 4(n+1)(n+2)} となります。分子が因数分解できる形になったので分子、分母ともに
因数分解した形で表しましたが、両方とも展開した形で解答しても構いません。

参考

チャート式 数研出版

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