恒等式を利用して、多項式の割り算の余りを求める問題のポイント:式と証明

スポンサーリンク

恒等式を利用して、多項式の割り算の余りを求める問題のポイント

  • 整式の除法の結果から、別の整式で割った余りを求める問題です。
  • (割られる整式)=(割る整式)×(商)+(余り)から恒等式を導き、解きます。

多項式の割り算の余りを求める問題

ある整式をx-2で割ると1余り、(x+1)^2で割ると2x-11余った。
この整式を(x-2) (x+1)^2で割ったときの余りを求めなさい。

恒等式を利用して、多項式の割り算の余りを求める解法の手順

  1. 割られる整式をA(x)(x-2) (x+1) ^2で割ったときの商をB(x)と置きます。
  2. (x-2) (x+1)^2で割ったときの余りを、文字を使って表します。
  3. A(x)B(x),(x-2) (x+1) ^2と余りを使って表します。
  4. A(x)を、与えられた除法の結果を利用して表します。
  5. 3と4で表した式は恒等式になっているので、これを解きます。

多項式の割り算の余りを求める問題の解説

恒等式を利用することで、元の整式を求めずに余りを求めることができます。
ある整式をA(x)とします。(x-2) (x+1)^2で割ったときの商をB(x)と置きます。
(x-2) (x+1)^2は3次式なので、(x-2) (x+1)^2で割ったときの余りは
ax^2+bx+cと表せます。(余りが1次式の場合はa=0、定数の場合はa=b=0となります。)
(割られる整式)=(割る整式)×(商)+(余り) となるので、

スクリーンショット 2016-03-05 22.10.43
となります。

次に、与えられた除法の結果を式で表します。
A(x)=B(x)(x-2) (x+1)^2+ax^2+bx+c(x+1)^2で割ったときの余りを考えると、
B(x)(x-2) (x+1)^2(x+1)^2を因数に含むので、 (x+1)^2で割り切れます。
よって、B(x)(x-2) (x+1)^2+ax^2+bx+c(x+1)^2で割ったときの余りは
ax^2+bx+c(x+1)^2で割ったときの余りと等しくなります。

ax^2+bx+c(x+1) ^2はともに2次式なので商は定数となり、
(x+1)^2=x^2+2x+1よりx^2の係数が1なので、商はaとなります。
このことと、余りが2x-11であることから

スクリーンショット 2016-03-05 22.10.51

と表せます。同様に、x-2で割ると1余ることから、定数dを用いて

スクリーンショット 2016-03-05 22.10.57

と表せます。
(1),(2)xに関する恒等式になっているので、それぞれの右辺を展開して係数を比較すると

\[b=-2a+2 \dots (3)\]

\[c=a-11 \dots (4)\]

\[b=-2a+d \dots (5)\]

\[c=-2d+1 \dots (6)\]

が得られます。 これらの式を連立方程式として解くと、
(3)(5)よりd=2(6)に代入してc=-3(4)に代入してa=8(3)に代入してb=-14となります。よって以上のことから求める余りは

スクリーンショット 2016-03-05 22.15.25

参考

チャート式 数研出版

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク